表題番号:2025C-580 日付:2026/04/03
研究課題女性中堅社員を対象とした経験学習と価値観・信念の質的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 准教授 廣松 ちあき
研究成果概要


中堅社員の内省支援策検討には、内省に影響を与える中堅社員の価値観・信念の把握が必要であり(廣松・尾澤 2019)、上司や同僚、顧客からの期待の明示は、中堅社員が「困難から逃避」することを防ぎ、仕事観・信念の生成と自覚を促すことが明らかになっている(廣松・尾澤 2020)。 さらに、廣松(2024)は、女性中堅社員が仕事上の困難な経験に加えて、出産・育児など仕事を進める上で制約となる困難な私的経験を「自分にとっての仕事の意義を自問自答する機会」として活かして仕事観を確立していることを明らかにした。 これらの知見をふまえ、本研究では、出産・育児等で仕事経験に制約がある女性中堅社員の内省支援策検討のために、公私の経験からの学びと価値観・信念の形成プロセスを把握することを目的とした。 従業員規模300名以上の大企業に正社員として勤務し、育児休業復帰後も同じ企業で7年以上勤務継続している女性中堅社員4名を対象として、半構造化インタビューを実施した。インタビューでは、入社以降現在に至るまでの公私の経験において、「転機となった出来事(出産・育児休職、復帰後の異動、責任ある仕事や抜擢、子供の学校入学、家族の状況の変化など)」を巡り、転機時の行動とその理由、転機からの学びなどについて聞き、TEA(複線経路等至性アプローチ)を用いて質的分析を行った。 その結果、自分が理想とする仕事の進め方や家庭生活を実現できない葛藤の中で、「自分の思い通りにならない現状」に戸惑いや苛立ちを覚えながらも向き合い続け、家族や上司・同僚など周囲の支援を得て「自分なりの仕事の進め方や家庭でのふるまい方」を試行錯誤するプロセスが4名の共通性として明らかになった。そして、そのプロセスを通じて、「自分の強みと特徴を活かした自分の仕事観、家庭観」を確立していることが明らかになった。 今後は、これらの知見をふまえて、研修・内省支援ツール開発とその効果検証に取り組む。