表題番号:2025C-575 日付:2026/03/31
研究課題HPVワクチン関連情報曝露と発信特性に関する健康空間情報分析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 助手 ジョ オウカン
研究成果概要
 本研究では,ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンに関するSNS上の健康情報の実態と研究動向の解明を目的として,ユーザー生成コンテンツの分析および先行研究の整理を行った.
 まず,中国の動画プラットフォームBilibiliに投稿されたHPVワクチン関連動画のコメントを対象に,感情分析とトピック分析を実施した.その結果,約79%がポジティブまたは中立的であり,概ね肯定的な態度が確認された.一方で,予約の困難さや費用負担といった実務的障壁や個人的体験が主要な話題として抽出され,コミュニティ性の高い議論構造が示された.
 次に,複数のSNSを対象としたスコーピングレビューにより,情報内容,発信主体,分析手法を整理した.その結果,多くの研究が記述的分析にとどまり,理論的枠組みの活用が限定的であることが明らかとなった.また,個人による投稿は否定的感情や誤情報と関連しやすく,専門家による情報は質が高いが発信量が少ない傾向が確認された.
 さらに,関連論文の抄録を対象としたトピック分析により,研究は「定量分析」「情報の質評価」「心理・文化的要因」「情報拡散構造」の4領域に分類された.近年はSNSの拡散特性や感情表現に着目した研究が増加しており,研究領域の学際的拡張が示された.
 以上より,SNS上のHPVワクチン情報は,プラットフォームや発信主体によって内容および感情傾向が異なることが示された.今後は,理論に基づく分析の強化と,若年層の特性を踏まえた効果的な情報発信の検討が求められる.