表題番号:2025C-569
日付:2026/03/27
研究課題ヤングケアラー支援の初期段階におけるケースマネジメントに関する研究
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 人間科学学術院 人間科学部 | 准教授 | 岡安 朋子 |
- 研究成果概要
- 本研究は,ヤングケアラーに関するケースについて,校内における初期段階に焦点を当て,どのようなケースマネジメントが行われているのかを明らかにすることを目的とする。具体的には,児童生徒のヤングケアラーに関連する「気になる情報」(岡安・奥田,2025)を把握した際,当該情報がどのようにマネジメントされ,支援へとつながっていくのかについて,担当者および学校組織の実践を検討した。本研究では,ヤングケアラーへの対応経験を有する教職員4名を対象にインタビュー調査を実施した。その結果,ヤングケアラーの可能性があると判断されたケースへの対応は,ケースに関わる職種,ケースの特性,および学校組織の状況によって異なることが明らかとなった。スクールソーシャルワーカーの場合,ヤングケアラーの可能性を認識した段階で,教員との定期的な情報共有の機会に当該ケースを取り上げていた。また,ヤングケアラーであると判断されたケースについては,家庭の了承を得た上で行政をはじめとする関係機関と情報共有を行い,ニーズに応じて社会資源へとつなげていた。スクールカウンセラーについても,担任やコーディネーターからの情報を基に関係職員と連携し,聴き取りや面談を通して本人の状況およびニーズを把握していた。さらに,本人の承諾を得た上で校内外における情報共有および調整を行い,必要に応じて関係機関へつなぐとともに,保護者と協働した支援が行われていた。一方で,教員は校内における情報共有のハブとして機能している場合があり,「気になる情報」が教員に集約される構造がみられた。以上の結果から,ケースの特性や学校組織の状況に応じた柔軟な対応が行われていることが示唆された。しかしながら,ヤングケアラーの可能性に気づかれない場合には,ケースが支援につながらず,放置される可能性もある。したがって,ヤングケアラーのように可視化されにくいケースを含め,初期段階における「気になる情報」の共有方法や判断基準を校内で明確化することが重要であると考えられる。このような校内システムの整備により,ケースの取りこぼしを防止できる可能性が示唆された。