表題番号:2025C-565 日付:2026/03/28
研究課題不安と抑うつは自閉スペクトラム症成人の自立と関係があるのか?
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 教授 大須 理英子
(連携研究者) 人間科学学術院 次席研究員 土屋彩茜
(連携研究者) 人間科学学術院 客員次席研究員 岡本悠子
研究成果概要
自閉スペクトラム症成人は、定型発達成人や他の障害を持つ人と比べて、独立して生活することが難しい傾向がある。最近の研究では、自閉スペクトラム症の特性そのものよりも、不安や抑うつといったメンタルヘルスの問題のほうが、独立した生活により大きな影響を与えることが分かってきた。米国での調査では、適応機能が低い人ほど、不安や抑うつの症状が重く、社会的な困難も大きいこと、不安や抑うつが強い人ほど、認知能力と適応機能の間に大きなギャップがあることが分かった。一方で、独立した生活に必要とされる適応機能は、国や文化によって大きく異なると考えられる。そこで本研究では、バーミンガム大学と共同で、自閉スペクトラム症成人の独立性と、不安や抑うつなどの併存症状との関係を、異なる文化圏で比較する国際的な調査を実施した。仮説は以下の三点である
1. 併存するメンタルヘルスの問題(不安と抑うつ)は、自閉スペクトラム症成人の独立性のレベルに大きな影響を与える。  
2. 自閉スペクトラム症とメンタルヘルスの問題が併存する場合、独立性が低下し、定型発達成人とは異なる特徴や課題がみられ、そのパターンは国によって異なる。  
3. 自閉スペクトラム症成人における独立性と併存症状との関係は、文化によって大きく異なる。
日本での実験開始にあたって、公開された日本語版がない質問紙について、以下の標準的な手順によって翻訳を実施した。すなわち、英文から和文への順翻訳、和文から英文への逆翻訳、原英文と逆翻訳英文の比較(意味の変化、不正確な逆翻訳、誤訳などがないか確認、問題があれば順翻訳和文の修正)、自閉スペクトラム症当事者による和文のチェックという手順をとった。福井大学および千葉大学の協力を得て、自閉スペクトラム症成人のデータおよび年齢を合わせた定型発達成人のデータを取得した。他の参加国とのデータと合わせて解析を進めている。