表題番号:2025C-564 日付:2026/04/03
研究課題タンパク質SUMO化による神経分化調節
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学学術院 人間科学部 教授 榊原 伸一
研究成果概要
SUMO化は翻訳後修飾の⼀つで、DNA 複製、転写制御など多彩な細胞機能に関与している。SUMO化タンパク質からのSUMO分子の離脱は 脱SUMO 化酵素群(senp)が触媒する。Senp7はヘテロクロマチン構成因⼦であるHP1と直接結合し、クロマチン構造及び転写制御に関与することが知られている。しかしSenp7の脱 SUMO化活性とHP1との相互作⽤のどちらが神経分化に重要であるかはまだ明らかになっていない。
本研究ではsenp7全長のisoform Senp7L、HP1結合部位を欠失したisoform Senp7S、および脱SUMO活性を失活させた変異体Senp7Mの神経分化における機能を解析した。マウス神経芽細胞腫であるN2a細胞にAcGFP-Senp7L、AcGFP-Senp7M、AcGFP-Senp7Sを導⼊した後、レチノイン酸で分化誘導し神経突起伸⻑を計測したとこと、Senp7Lおよび Senp7M導⼊群では神経分化率が有意に増加した。⼀⽅、Senp7S 導⼊群では有意な低下が認められた。同発現ベクターを E14.5の胎仔脳に導⼊したところ、Senp7S 導⼊群のみ GFP陽性細胞が⽪質板へ移⾏する割合が低く、より深層の中間帯あるいは脳室帯付近に多く残存する傾向が観察された。この結果は本来⽪質板表層へ向かって移動する浅層ニューロンにおいて、放射状移動の進⾏が遅延または阻害された可能性を⽰唆する。以上からSenp7による神経分化制御には脱SUMO化活性よりもHP1との相互作⽤によるエピジェネティックな制御が重要である可能性が⽰唆された。