| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 人間科学学術院 人間科学部 | 講師 | 八木 創太 |
- 研究成果概要
本研究計画では、古代の短いペプチドが金属イオンと結合し、電子移動を伴った酸化還元反応の触媒となりうるかを検証することを目的とした。まず初めに、前年度までに設計した短いペプチドがレドックス活性を持つ金属イオンと結合するかどうかを確かめた。その結果、鉄イオン、コバルトイオン、銅イオンの濃度依存的にペプチド構造の変化が観察された。この結果は、ペプチドがいずれの金属イオンも結合し、立体構造形成に起用することを示すものである。また、鉄-ペプチド複合体のUV Visの吸光スペクトルは、天然型の鉄結合型Rubredoxinと類似したことからも、ペプチド構造中において鉄イオンの正確な配位構造の形成が推定できた。
この鉄-ペプチド複合体の電子伝達活性を評価するために、酸化還元指示薬のメチレンブルーの呈色反応を利用した。初めに酸化型メチレンブルーの還元反応を鉄-ペプチド複合体が促進するかを検証したが、予想と異なりメチレンブルーの酸化が観察された。また、メチレンブルーの酸化反応をモニタリングした場合でも、鉄-ペプチド複合体を含むサンプルでは酸化が促進された。つまり、鉄-ペプチド複合体はメチレンブルーから電子を引き抜く酸化反応を触媒する可能性を見出した。これは、古代の短いペプチドであっても金属イオンにより自己組織化および構造形成が促され、電子伝達活性機能を持ちうることを示す結果である。
また、本研究において変異ペプチドの電子伝達活性も解析を行った結果、配列によって電子伝達能力に変化が生じることもわかった。これは、今後のペプチド配列と電子伝達活性との共進化の関係を探る上で、良いモデルになると予想される。これらの結果をもとに今後、電気化学的な解析も交えつつより詳細な古代ペプチドの電子伝達能力とその可能性について解明を進める。