表題番号:2025C-556
日付:2026/04/01
研究課題ウミネコ繁殖集団の安定性維持メカニズムの行動・社会生態学的検討
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 人間科学学術院 人間科学部 | 准教授 | 風間 健太郎 |
- 研究成果概要
近年,海鳥は世界各地でその数を大きく減らしておりその保全は急務である。集団繁殖性の海鳥は,自身の縄張りを維持しつつも,隣接個体同士が捕食者に対し共同で防衛を行うことで繁殖成功度が上昇する。そのため,海鳥の保全のためには繁殖集団を一定以上の大きさに維持する必要がある。しかしながら,隣接個体間で社会関係がいかに形成・維持され繁殖集団のサイズが変動するのかは未解明であり,海鳥の繁殖集団を適正なサイズ以上に維持する具体的方策は確立されていない。本研究では,国内で繁殖する代表的な海鳥であるウミネコを対象とし、攻撃性の個体差により繁殖上の利益やコストが個体ごとに一見不均衡である集団がどのように維持されているのかを、個体間の適応的な利益・不利益の授受などの社会的な関係性を解析することで明らかにした。
これらの実現のため、2025年4月~7月に北海道利尻島を8回訪問し、行動観察を行った。その結果、ウミネコの縄張りへの同種侵入者に対する防衛強度には大きな個体差があることがわかった。この防衛強度を攻撃性の指標とした際、攻撃性はつがい内の雌雄間で相関し、また攻撃性が類似する個体同士で集合して営巣することもわかった。これらの結果は、個体の攻撃性にもとづくつがい相手選択機構および営巣地内の空間的・社会的構造形成が存在する可能性を示唆する。さらに、攻撃性の個体差がもたらす集団内の不均一性の生態学的意義を理解するためには、これらの個体差に起因する繁殖上の利益・不利益とその個体間での授受過程を定量的に解明する必要がある。その際、社会ネットワーク解析を用いることで、個体間の相互作用に基づく利益・不利益の授受構造を定量的に評価することが可能となる。