表題番号:2025C-546 日付:2026/02/02
研究課題株式報酬制度とインセンティブに関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学総合学術院 社会科学部 教授 葛山 康典
(連携研究者) 高崎経済大学 教授 阿部 圭司
研究成果概要

 東京証券取引所が定めるコーポレートがナバ ンスコード (CGC) は、「株主の権利・平性の確 保」、「株主以外のステイクホルダーとの適切な協 働」など 5 つの基本原則を定め基本原則の 4 に おいて、「取締役会の責務」についてで”上場会社 による透明・公正かつ速・果断な意思決定を促 し”ている。


 なかでも、補充原則4-2①において、”経営陣の 報酬が持続的な成長に向けた健全なインセンティ ブとして機能するよう、客観性・透明性ある手続 きに従い、報酬制度を設計し、愚弟的な報酬額を 決定すべき” であるとして、”中長期的な業績と連 動する報酬の割いや、現金報酬と自社株報酬との 割合を適切に設定すべき”としている。


 従来、本邦において報酬制度に関する研究は、これらの報酬制度をどのような企業が導入しているのかという視点からの導入企業の特徴抽出の研究が行われてきたが、報酬制度導入が企業価値の向上にむずび着いているかについての分析は見当たらない。株式報酬制度の導入数が増加し、その後一定程度の期間が経過したことから、業績に関するデータを利用した分析を行う環境が整ったことから、株式報酬制度の導入が企業業績に正の影響を与えているのかどうかについて分析した。


 DiDを用いて、制度の導入が企業価値向上あるいは業績に正の影響を与えているかについての分析結果からは、有意な因果関係を見いだすことができなかった。この結果に基づき、株式報酬制度のより具体的な内容に踏み込んで、分析を行う準備をあわせて進めた。株式報酬制度は税制との関連から、可能な報酬設計と実務的観点から導入可能な報酬制度は限られている。この観点から、報酬制度の導入実績について、決算短信などをベースにサンプルの整理を行い、分析の準備を進めている。