| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 社会科学総合学術院 社会科学部 | 講師 | 中山 敬太 |
- 研究成果概要
本研究では、生命・健康被害の懸念のある環境汚染に関して、科学的な因果関係が不明確な状況下(とりわけ汚染原因と被害結果に対する科学的不確実性が伴っている場合に)、当該汚染に共通する構造的な問題や制度上の課題を明らかにして、その予防的な法的制御のあり方に関して新たな政策的示唆を提示した。本研究の具体的な対象としては、ナノ・マイクロプラスチック汚染、PFAS(PFOSやPFOAをはじめとする有機フッ素化合物)汚染、そして残留農薬問題(グリホサートやネオニコチノイド)等を題材に、人体への懸念がある不確実性を伴うリスクに対する汚染構造に対する政策的課題を明らかにした。その上で、環境法の基本的な考え方の一つである「予防原則」の政策適用等に向けて内在的に存在する課題なども踏まえて検討を行った。このような共通する環境汚染をめぐり、時限性及び限られたデータや情報しかない制約条件下において、何らかの政策判等をしなければならない際の「予防原則」の果たす役割・意義やその適用可能性について再検討し、先行研究等を踏まえ文献調査を中心に学問的整理も行いながら、このような人体への懸念のある環境汚染をめぐる「リスク」や「不確実性」に区分して吟味することで、いかなる構造的問題が存在し、どのような制度上及び立法政策上の課題があるのかを追究し、新たな視座を示した。
具体的な本研究の成果としては、不確実性を伴う生命・健康被害の懸念のある環境汚染をめぐり、上述したような様々な事例を多角的に取り上げ、非点源汚染(どこが汚染源であるかを特定・明確化できない状況)と当該汚染原因と具体的な人体への疾病等をはじめとする生命・健康被害に対する因果関係が不明確な点などの汚染構造が、行政の不作為を引き越している可能性を指摘した。このような汚染構造に対して、本研究では法的予防措置の「標準化」を新たに提唱し、当該汚染に共通する構造を見出し、「予防原則」の適用等を含む法的予防措置を講じる際の「標準化」の必要性とその意義を示した。