表題番号:2025C-515
日付:2025/11/04
研究課題 多剤耐性がん細胞に高選択的な細胞毒性を示す天然物 Syzygiomblane 類の合成研究
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 国際理工学センター(理工学術院) | 准教授 | 山本 佳奈 |
- 研究成果概要
本研究では、Syzygiomblane Aの全合成達成を最終目標とし、その鍵となる分子内反応を利用した核構造の構築法の確立を目指している。研究開始からこれまでの半年間で、合成経路の検討とともに、核構造構築に必要な既知中間体の合成に着手した。その結果、全5段階のうち4段階までの条件を確立し、1種類の合成中間体の単離に成功した。これにより、当初計画していた合成経路の実現可能性を検証するための基盤を整えることができた。
また、各段階における反応収率や精製条件の最適化に関する知見を蓄積できたことから、今後の合成効率向上が期待される。現時点では、天然物の核構造を形成する鍵反応の検討には至っていないが、前駆体合成の目処が立ちつつある。年度末までにはモデル化合物を用いた鍵反応の検討を完了し、次年度の全合成研究に向けた反応条件の確立を目指す。
本課題は学部4年生による卒業研究としても位置付けており、基礎的な有機合成操作や経路設計の修得を目的としながら、段階的に天然物合成研究の実践に取り組んでいる。限られた期間の中で着実な進展が得られており、今後の展開に向けた重要なステップとなっている。