表題番号:2025C-503 日付:2026/03/27
研究課題液滴における自己複製分子システムの長期進化
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 准教授 水内 良
研究成果概要
生命が誕生する前にはRNAなどの自己複製する分子システムが存在し、ダーウィン進化によって複雑化したと考えられている。進化には細胞等の区画構造が必要であり、原始区画の候補として液-液相分離した液滴が提唱されている。一方、先行研究において自己複製分子の進化は油中水滴でしか実証されていなかった。そこで申請者らは昨年度までに、独自開発したRNA自己複製システム (Mizuuchi 2022) と液滴 (Mizuuchi 2020) を組み合わせ、液滴におけるRNA自己複製システムの進化を検証した。一連の実験サイクル (RNA複製、希釈、栄養供給) を繰り返して進化実験を行ったところ、RNA複製は約80世代まで持続したが、最終的に止まってしまい、その原因は明らかでなかった。本研究ではまずこの原因を調査し、これまでに観察されたことがない、長い寄生RNAの出現によって集団全体の複製が阻害されたことが明らかになった。さらに、液滴径を小さくすれば、このような寄生RNAの複製を抑制できる可能性を見出した。そこで液滴の構成要素を改良し、小さくかつ内部のRNA複製を阻害しない液滴を開発し、それを用いて再び進化実験を行った。その結果、RNA複製はより安定的に持続し、260世代に到達した。今後はこの長期複製の過程でどのような進化が起きたかを調査する予定である。