表題番号:2025C-495
日付:2025/11/10
研究課題心筋分化誘導活性の解明に向けたアプラトキシン由来のケミカルプローブの合成
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 中尾 洋一 |
| (連携研究者) | 早稲田大学 | 准教授(任期付) | 山本佳奈 |
- 研究成果概要
アプラトキシンを基盤とするプローブ合成にあたり、標的化合物をペプチド部位、システイン部位、およびポリケチド部位の3部位に分け、それぞれの合成経路を検討した。天然型については各部位の合成経路がほぼ確立していたが、ポリケチド部位では最終段階において保護基が脱離してしまうという課題があった。また、システイン部位ではプローブ結合用のアリル基導入段階の収率が低く(5%)、再現性にも問題が残っていた。
このうち、システイン部位のアリル導入については、Tsuji–Trost反応を適用することで、13%の収率で目的とするセグメントを得ることに成功した。現在は天然物合成に焦点を当てているため条件最適化には至っていないものの、反応経路確立の目途が立ったといえる。
最終段階では3部位を順次縮合させるが、最長直線工程数を短縮するため、従来法とは異なる順序でフラグメントを縮合させる計画を立てた。これにより、従来最短でも19段階を要した天然物合成を13段階まで短縮できる見込みである。しかし、モデル化合物を用いた検討の結果、鍵反応の一つであるチアゾリン構築反応が従来法では進行しないという問題が生じた。そこで、各種触媒を検討したところ、モリブデン錯体を用いる条件下で所望のチアゾリンを57%の収率で得られることを見出した。
現在は、ポリケチド部位の保護基脱離問題の解決を含め、各反応段階の条件最適化および原料合成に取り組んでいるほか、より天然物に近い複雑な構造を持つモデル化合物を用いてチアゾリン環構築を含むエンドゲームの検討を行っている。