| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 助教 | 宮島 悠輔 |
- 研究成果概要
本研究課題は機械学習手法を用いて、秩序変数、転移温度や相の数といった対象とする系の事前知識をできるだけ必要としない、相転移の汎用的な検出手法を構築することを目的としている。特にベレジンスキー・コスタリッツ・サウレス転移といった自発的対称性を伴わず、二次相転移と比較して検出が難しいトポロジカル相転移を念頭に手法開発を試みた。これまでの単純な手法では磁化を用いて相分類する傾向にあり、検出がうまくいかない事例が多いことを踏まえ、スピン配置に潜むより複雑で非自明なパターンを検出するための手法を導入することにした。そこで自然言語処理で用いられる手法を援用することを試みた。具体的には自然言語処理において単語の分散表現を獲得する際に用いられるCBOWモデルを2次元強磁性クロック模型に適用することを試みた。あるスピンの向きを、その周辺のスピンの向きから推定する機械学習タスクを通して、スピンベクトルの分散表現の獲得を試みた。スピンの向きに対して整数のラベルを割り当てるのだが、学習ではこのラベルしか与えず明示的なスピン成分を与えていないにも関わらず、スピンベクトルの分散表現にはクロック模型のスピンベクトルに対応する情報が含まれていることがわかった。また、この課題と同時にカオスを用いたモンテカルロ計算の研究に取り組んだ。具体的には、カオス・ボルツマンマシンと呼ばれる数理モデルの研究に取り組んだ。このモデルでは、モンテカルロ計算と等価であると期待される計算を力学系の時間発展を用いて実行する。すでにこのモデルに従う動作をする専用ハードウェアが開発されており、計算の加速が期待できる。本研究では、カオス・ボルツマンマシンの基礎的な特性について詳しく理解するためにイジング模型を対象に詳細な解析を行い、最大リアプノフ指数や物理の収束性などを調べた。