表題番号:2025C-490
日付:2026/04/03
研究課題原子層材料におけるスピン軌道相互作用がもたらす新奇物性の創発
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 高山 あかり |
| (連携研究者) | 早稲田大学 | 修士1年 | 大塚ほのか |
| (連携研究者) | 早稲田大学 | 修士1年 | 井上鈴菜 |
- 研究成果概要
- 本研究では、スピン軌道相互作用による付与効果をもつ新しい原子層物質を作製し、その物理を構築するため、半導体基板上の表面超構造やヘテロ接合による原子層薄膜について、角度分解光電子分光実験による電子状態の解明を行った。
半導体基板上に重元素を蒸着した表面超構造では,空間反転対称性の破れとスピン軌道相互作用に起因したRashba 分裂バンドの発現が知られており,スピントロニクスデバイスへの応用展開が期待されている。Sbはそれほど重元素ではないものの単結晶表面や半導体基板上の表面超構造において明瞭な Rashba スピン分裂が報告されており,その大きな Rashba 効果の起源について議論されている。本研究では, Sb/Ge(111)表面超構造の Rashba 効果に関する知見を得ることを目的として, Sb/Ge(111)-7x7表面超構造の作製および電子状態の偏光依存性を測定した。実験の結果,水平垂直偏光では観測されるバンドが明確に異なること,左回りと右回り円偏光でARPES結果に違いが現れることを見出した。特に,垂直偏光で観測されたバンドが円偏光での差が大きく,現在このバンドの詳細について議論を行なっている。
また1 bilayer (BL)の Bi超薄膜は2次元トポロジカル絶縁体であることが理論的に提唱されており,その実験的実証のために様々な基板上での作製が試みられている。本研究では,Sb薄膜基板上への1-BL Biの作成を行うとともに,励起光依存性からバンド分散の詳細を明らかにした。先の実験では,Sb薄膜の量子井戸準位とBi由来の電子状態の分離が困難であったが,励起光を変化させることで表面バンドとバルクバンド,BiとSbの分離を行った。実験の結果,理論予測と比較的良く対応したBiのバンド分散形状が示されたものの,バンドの傾き等に違いがあることから,面直方向の構造変化の可能性を議論している。