表題番号:2025C-488 日付:2026/02/01
研究課題ブラックホールに関連する物理現象の解明
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 教授 辻川 信二
(連携研究者) 京都大学基礎物理学研究所 准教授 Antonio De Felice
研究成果概要
 本研究では,スカラー場やベクトル場を含む拡張重力理論の枠組みにおいて,ブラックホールや中性子星などの強重力天体および宇宙の暗黒成分の理論的性質を体系的に解明した.一般相対論を拡張したこれらの理論は,宇宙の加速膨張やダークマターの起源を説明する有力な候補として注目されており,本研究はそれらの理論的妥当性と観測的検証可能性を同時に探ることを目的とした.
 まず,Einstein-scalar-Maxwell理論や非線形電磁気学に基づき,特異点を回避したブラックホールやエキゾチックコンパクト天体の解を構成し,それらの時空構造および物理的特徴を詳細に解析した.さらに,準固有振動やグレイボディ因子の計算を通じて,アクシオンなどダークマターの候補となりうる新粒子が強重力環境下で示す特有の振る舞いを明らかにし,将来の電磁波・重力波観測による間接的検出の可能性を示した.加えて,Horndeski理論でスカラー場が曲率と結合している系において,中性子星連星の合体前の潮汐変形率に与える影響を評価し,その際に放出される重力波波形への影響を通じた理論検証の道筋を提示した.これらの解析により,強重力領域における理論の兆候を明確化するとともに,今後の観測精度向上に伴う制限可能性について具体的な指針を与えた.これらの成果は,拡張重力理論の理論的整合性と観測的検証の両面から,宇宙論および強重力物理の理解を前進させるものである.
 上記の研究成果は,10編の学術論文として執筆するだけでなく,3つの国外の研究会においても口頭発表として報告し,特定課題による研究成果の幅広い周知を行なった.これにより,本研究の成果は国際的にも共有され,関連分野の発展に寄与する基盤を形成した.