| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 溝川 貴司 |
| (連携研究者) | 先進理工学部 | 教授 | 溝川貴司 |
- 研究成果概要
ユトレヒト大学のFrank de Groot教授を訪問し、高い原子価を持つ遷移金属酸化物の酸素ホールと触媒効果について議論し、その理論と観測計画に立脚した研究費申請について検討した。マックスプランク固体化学研究所を訪問し、遷移金属化合物の軌道自由度の役割について議論した。さらに、BaFe2S3が時間反転対称性を破る反強磁性体であることを発見・報告した成果が日本物理学会のJPS Hot topicsに選出された[1]。
励起子絶縁体の候補物質であるTa2NiSe5ではSe-Niの電荷移動エネルギーが負になることが知られており、その相転移の機構が電子正孔対間の引力による励起子的なものか、あるいは電子格子相互作用による格子変形によるものか、論争が続いている。SeをSで置換することで電子格子相互作用の効果を弱め、より純粋な励起子絶縁体に近づけた系において、時間分解角度分解光電子分光の結果を詳細に解析し、レーザー励起後の100fs程度の短時間で半金属相へと転移することを発見した。本成果はSpringer-Natureが新規に立ち上げたDiscover Physics誌に掲載された[2]。KEKのPhoton Factoryにおいて角度分解光電子分光実験を行い、Se置換によるバンド構造の変化を報告した[3]。
本課題の責任者の溝川と先進理工学部物理学科4年生の峯尾誠氏の2名がイタリアの放射光施設Elettraの角度分解光電子分光実験に参加し、空間反転対称性が破れたPtBi2でBiをSeで置換することによって超伝導が発現するPt(Bi1-xSex)2の角度分解光電子分光測定を行った。峯尾氏を中心にデータ解析を進め、現在、論文の執筆を進めている。さらに、励起子絶縁体の候補物質であるTiSe2にCuをインタカレートした系において位置分解角度分解光電子分光を適用し、TiSe2の半金属状態とは異なる新しいタイプのフェルミ面の観測を報告した[4]。