| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 教授 | 澤田 秀之 |
- 研究成果概要
速く正確に動作するロボットが産業へ広く応用されてきた一方で、生物や生体システムの柔らかさに着目し、柔軟で器用な動作を可能とするロボットの研究が進められている。本研究では、生体模倣の観点から、生体・運動器官・筋肉機構・感覚受容機構を高度に再構築した手指ロボットを構築し、「手の器用さ」をサイエンスの観点から解明していくことを目的とした。
本年度はまず、解剖学的知見に基づき、指の柔軟な動きに作用する全ての骨および筋肉をはじめとする軟組織を選別し、精密な手指の3Dモデルを構築した。指の各組織に最適な材料を選定し、3Dプリンタによる印刷ならびにCNC加工により、Biomimetic fingerを作製する手法を構築した。次にSMAワイヤを人工筋肉、人口腱として内蔵し、各指をマニピュレーションするための構造の検討を進めた。人の指は筋繊維が複雑に配置されており、柔軟な指動作を実現するためのアクチュエータ配置を決定し、SMAアクチュエータによりBionic fingerの動作が可能となることを示した。またワイヤにかかる応力を高精度にセンシングする手法を確立し、物体把持動作時の力フィードバック制御にも適用可能なことを示した。申請者らの開発したSMAアクチュエータは、パルス電流により伸縮と力生成が可能であり、同時にその抵抗値変化を測定することで、伸縮量と生成力を計測・推定できる。今後、これをリアルタイムセンシング・アクチュエーションすることで、物理状態のフィードバック制御をおこなうシステムを構築していく。
生体と同等な柔軟性と強靭さを持つ器官とその運動の再現により、生体との親和性の高い義手や義指の実現に繋がるだけでなく、生活環境内で安全かつ適応的に動作するロボットや、柔軟度を高度に制御可能な新しいマイクロマニピュレータの実現につながる。