表題番号:2025C-480
日付:2026/01/28
研究課題高分子レドックスフロー電池用活物質としての高水溶性ラジカルポリマーの開拓
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 助手 | 石神 航平 |
- 研究成果概要
- 高分子活物質を用いたレドックスフロー電池 (RFB) の電荷貯蔵容量が10 Ah/L程度に留まる主要因は、水溶性部位による電荷貯蔵密度の希釈と、質量濃度に対して非線形的に増大する粘度の制約にある。本研究ではRFBにおける高容量化を目的として、レドックス部位と水溶性付与の機能を集約した高分子電解質型の正極活物質を対象に、その実用条件下での挙動を検討した。これまで、中性水電解液中で高い電気化学安定性を示すTEMPO近傍に、第四級アンモニウム基を導入した高分子電解質型の分子設計を採用することで、1 M NaCl水溶液中において2 M (54 Ah/L) を超える高い溶解性を示しつつ、流動性を維持できることを明らかにしてきた。本研究ではこの高い溶解性を前提とし、溶液の流動特性と高濃度条件での電池動作に着目した。粘度の濃度依存性と極限粘度評価から、充電状態において極限粘度と粘度が低下する特異な挙動を示すことを見出した。高分子RFBにおける容量制約が単なる溶解度限界ではなく、分子設計に起因する粘度特性に強く支配されることを示し、本分子設計がそのトレードオフを緩和し得ることを実証した。これらの特性を踏まえてRFBを試作したところ、20 Ah/L (0.75 M) という、従来の高分子RFBの実用上限とされてきた容量の約2倍の条件下において、安定した充放電挙動と高いクーロン効率を示した。本成果は、高分子活物質を用いたRFBが実用容量域に到達可能であることを示した重要な実証例であり、高容量・低コストRFBの実現に向けた新たな正極活物質の設計指針を提示するものである。以上より、高容量・低コストRFBの実現に向けた正極活物質設計および評価に関する重要な基盤的知見を得た。