表題番号:2025C-479 日付:2026/03/16
研究課題カーボンナノチューブ自立膜電極を用いたLi 二次電池の開発と環境影響評価
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 講師 前 智太郎
(連携研究者) 早稲田大学 教授 野田 優
(連携研究者) 東京大学/早稲田大学 特任研究員 (シニアリサーチフェロー)/客員教授 平尾 雅彦
(連携研究者) 東京大学 特任講師 ティア ヘン イ
研究成果概要
カーボンニュートラルの実現に向け、リチウムイオン二次電池(LIB)の高性能化が盛んに研究されている。一方で、LIB製造過程における大量の温室効果ガス(GHG)排出が指摘されており、新規高性能LIBの環境影響評価も不可欠である。これまでに我々は、部分プレリチオ化法を用いたカーボンナノチューブ(CNT)ベースSiO-NCMLiNi0.8Co0.1Mn0.1O2)全電池を開発し、正負極質量基準で高いエネルギー密度を達成してきた。しかし、ライフサイクルアセスメント(LCA)により、CNTベースSiO-NCM全電池のGWPglobal warming potential)およびSOPsurplus ore potential)は現行LIBよりも大きく、ホットスポットがプレリチオ化プロセスおよびそれに伴うドライルームの電力消費であると明らかとなった。そこで本課題では、ホットスポットを改善するためにプレリチオ化条件の最適化を行った。半電池試験の結果、電解液量6.76.9 µL/mgSiOおよびプレリチオ化時間4時間の条件において、初回リチオ化容量を93.3138 mA h/gSiOに抑えつつ、高い脱リチオ化容量(16601669 mA h/gSiO)を達成した。この条件で作製したCNTベースSiO-NCM全電池は、300サイクル目において正負極質量基準のエネルギー密度346–377 W h/kg正負極を達成し、現行LIBを上回る性能を示した。また、電子顕微鏡観察の結果、最適条件でプレリチオ化したCNTベース負極では電解液との副反応が抑制され、電極膜厚が既往条件と比較して26%低減することを確認した。さらに、LCAにより、最適化後のCNTベースSiO-NCM全電池では、GWPおよびSOPが最適化前と比較してそれぞれ25%および28%低減された。