表題番号:2025C-478 日付:2026/04/03
研究課題炭酸塩水溶液と窒素からの電解による尿素直接合成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 准教授 花田 信子
(連携研究者) 先進理工学研究科 修士課程2年 渡邊 陸
研究成果概要
CO2電解還元法は電力に対する応答が早いことから変動の激しい再生可能エネルギーと相性の良いプロセスとして期待されている。その中で、肥料や樹脂の原料である尿素を水溶液中で窒素とCO2の反応により電解合成する手法が報告されている。先行研究では電解槽内で作用極に窒素とCO2をバブリングして合成しているが、CO2の水に対する溶解度が低いためCO2の転化率を向上させることが難しい。そこで塩基性水溶液でCO2を吸収して炭酸塩水溶液と窒素ガスから尿素を合成する手法を考案した。炭酸水素カリウム水溶液(KHCO3) 窒素ガスをバブリングしながら電解することで尿素の生成をこれまでに確認している。本研究では、触媒表面積増加による尿素生成速度の向上を目指すために、ホウ酸ニッケル(Ni3(BO3)2)を触媒としてカーボンナノチューブ(CNT)膜との複合化を図った。3次元膜に触媒粒子が保持されており、投影面積当たりの触媒表面積増加を狙った。(Ni3(BO3)2)/CNT電極を用いた場合は、カーボン板に触媒を担持した電極((Ni3(BO3)2)/C)と比べて、尿素の生成速度は1.3倍程度大きくなった。しかし、担持量1 mg当たりの生成速度に変換すると、(Ni3(BO3)2)/Cに比べて(Ni3(BO3)2)/CNT1/5となっており、CNT電極は3次元構造を有効に扱えておらず、触媒利用率が低くなっていることが分かった。また、ファラデー効率は0.28%であり、(Ni3(BO3)2)/C電極の1/3程度に減少した。電極自体の表面積が増えたために、水素発生などの副反応を促進したためと考えられる。今後は、触媒の利用率をあげるために、絶縁体である(Ni3(BO3)2)と集電体であるCNTとの接触面積を増加させる電極を設計する。