表題番号:2025C-476 日付:2026/02/02
研究課題プラスチックに対するゼオライトの触媒分解性能に対するプラスチック中の添加物の影響
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 先進理工学部 教授 松方 正彦
研究成果概要

廃プラスチックは我々の生活に不可欠な材料である一方、その多くがエネルギーリカバリーとして処理され、二酸化炭素排出や資源循環の観点から課題を抱えている。これらの問題を解決する手段として、廃プラスチックを炭化水素原料へ転換するケミカルリサイクル、特に油化技術が注目されている。本技術では、融解時の高粘度性や廃プラスチックに含まれる添加剤・夾雑物が反応を阻害する点が課題であり、生成物選択性の向上も求められている。

本研究では、炭化水素溶媒中でゼオライト触媒を用いたポリオレフィンの触媒分解に着目し、実際の添加剤含有製品を対象として添加剤が触媒性能に及ぼす影響を検討した。ブルーシートやフレコンバッグなどの実製品を用い、燃焼残渣分析により無機添加剤を同定した結果、炭酸カルシウムやタルクが主成分であることが確認された。分解試験の結果、ゼオライト触媒の添加によりポリマー転化率および軽質炭化水素収率は全体として向上したが、炭酸カルシウムを含む製品では軽質成分の生成が抑制される傾向が見られた。

触媒の酸性質評価から、炭酸カルシウム由来のカルシウム成分が触媒酸点とイオン交換し、強酸点を失活させることが示唆された。一方、タルク由来のマグネシウムは安定な鉱物相として存在し、触媒酸点への影響は限定的であった。以上より、添加剤の化学形態が触媒分解挙動を大きく左右することが明らかとなり、実廃プラスチックを対象とした触媒プロセス設計において添加剤情報の把握が極めて重要であることが示された。

さらに本研究の結果は、実廃プラスチックを対象とした油化・触媒分解プロセスにおいて、事前の高度な分別や完全な添加剤除去を必ずしも前提としない運転条件設計の可能性を示している。今後は、添加剤の種類や含有量に応じた触媒設計や再生手法の確立を通じ、より実装性の高いケミカルリサイクル技術への展開を行いたい」。