表題番号:2025C-475
日付:2026/03/30
研究課題高水素容量水素化マグネシウム多孔質シートの大気中での簡易作製プロセスの開発
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 先進理工学部 | 助教 | 吉田 啓佑 |
- 研究成果概要
- 水素化マグネシウム(MgH2)は安全かつ高密度に水素を貯蔵できる材料であるが、粉体のタンク使用時には熱供給や伝熱促進が課題である。申請者はMgH2多孔質シート間に水素を熱媒体として流通させ、水素を吸蔵・放出するプロセスを提案した。シートは、触媒添加したMgH2粒子をカーボンナノチューブ(CNT)のスポンジ構造内に保持した材料であり、水素の吸蔵・放出においてもその構造を維持できる。ボールミリング法による触媒添加MgH2とCNTを溶媒中で共分散し、濾過法により作製する。一方で、MgH₂は大気中で酸素や水分と反応しやすく、劣化により貯蔵特性が低下する課題がある。本研究ではMgH2-CNTシート作製プロセスにおけるミリング条件、大気接触の有無を検討して、シートの水素吸蔵放出特性への影響を調べた。触媒添加MgH2粒子作製では、ボールミリング時に容器内へ多数のボールを投入し、1時間という短時間のミリングによって、大気中で劣化しない程度の粒子活性化を実現した。CNT分散溶媒にIPA(2-propanol)を用いて大気ないしAr環境内でMgH2-CNTシートを作製すると、Ar環境内で作製したシートは0.10 mol-H2/mol-Mgと大きく水素吸蔵容量が減少したが、大気環境で作製したシートは0.78 mol-H2/mol-Mgとその低下を抑えられた。粒子表面にできたMg(OH)2がIPAとの反応からMgH2を保護したと考えられる。また、5サイクルの水素吸蔵放出測定後には大気環境で作製したシートは0.82 mol-H2/mol-Mgまで水素吸蔵量が向上し、大気非接触の触媒添加MgH2粒子よりも大きな値であった。本研究により、シート作製プロセスにおける適度な酸化が容量とサイクル特性の両立に重要だと明らかになり、水素貯蔵タンクの実用化に向けた材料作製プロセス開発の指針になると考えられる。