| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 創造理工学部 | 講師 | 岩本 大輝 |
| (連携研究者) | 早稲田大学 創造理工学部 経営システム工学科 | 教授 | 永田 靖 |
- 研究成果概要
本研究は,マハラノビス・タグチ(MT)システムに基づく「異常クラスの分布を事前に仮定しない」異常検知を基礎として,アンケート(順序尺度)データ,極値データ,関数データ,方向(円周)データなどの非典型データを対象に,異常検知およびロバスト推定の枠組みを拡張し,正常データ間の関係性から逸脱したサンプルの定量的検知,ならびに異常値の影響低減を可能とする統計科学手法の確立を目的とした.
本研究では,以下の三点の成果を得た.第一に,関数データ解析の枠組みを導入してMT法を再構成し,高次元かつサンプルサイズが限られる状況においても,分散共分散行列の特異性(ランク落ち)に起因する計算不能を回避しつつ,検知精度の向上を確認した.第二に,極値データに対してロバスト推定の一手法であるγダイバージェンスに基づく推定に着目し,一般極値(GEV, Generalized Extreme Value)分布のパラメータ推定および再現レベル推定への適用可能性と有用性を検証した.推定に用いるハイパーパラメータの推奨値を整理し,実務的な手法実行手順を提案した.第三に,方向(円周)データ解析において,角度データの円周性を保持するためのベクトル重み付けと円周正規化を組み込んだタグチT法の改良手法を提案し,推定精度が向上することを示した.
各提案法の有効性は,外れ値混入率や次元数等の条件を系統的に変化させたシミュレーション実験を実施し,正常,異常の判別性能指標および推定誤差等の複数指標により既存手法と比較することで,精度と頑健性を定量的に検証した.さらに,非典型データの実データとして,関数データには時系列株価,極値データには年間最大日降水量,方向データには風向データを用い,既存手法の結果と対比することで,実運用を想定した適用可能性も評価した.
これらの研究成果は,国際会議IEEE International Conference on Industrial Engineering and Engineering Management 2025にて報告した.