表題番号:2025C-466
日付:2026/03/13
研究課題液浸データセンター低温排熱利用CO2直接空気分離の基礎検討
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 創造理工学部 | 教授 | 中垣 隆雄 |
- 研究成果概要
- 近年,AI技術の急速な発展に伴いデータセンター(以下DC)の電力需要は急増している.これにより,サーバーの発熱密度が急激に上昇し,高い冷却能力を有する液冷システムへの転換が加速していることから,DC排熱の活用ポテンシャルが高まっている.一方,世界的な脱炭素の潮流の中で,主要なDC事業者にはカーボンニュートラルの達成が強く求められている.我が国においては,電力供給と情報処理を統合的に最適化する「ワット・ビット連携」が提唱されている.しかし,当該構想のみでDC由来のCO₂排出をゼロにすることは容易ではなく,ネット・ゼロ達成に向けては,炭素除去技術の導入が不可欠になると考えられる.本研究では,サーバーから排出されるジュール熱をCO₂直接空気回収技術(以下DAC)に利用する「ワット・ビット・ジュール連携」の構想を提起し,固体吸収材を利用した統合システムの概念設計を実施するとともに,実証試験の初期設計を実施した.まず,既存の固体吸収材の吸着等温線と破過曲線を実験的に取得し,平衡吸着量と吸着速度定数を定式化した.得られた材料特性を運動量・熱・物質輸送方程式と連成し,反応器内の動的特性が計算可能な一次元数値計算モデルを構築した.次に,回収したDC排熱を全量利用する想定で,複数のDACプロセスに対して消費電力,年間回収量,所要敷地面積を目的関数とした多目的最適化を実施した結果,ハニカム型の固定床反応器が最適であり,30 MW級のDC排熱から年間約36000トンのCO₂を回収する場合,ヒートポンプを活用した場合と比較して正味消費エネルギーを約77%削減できることが分かった.また,DCに付属する冷却塔の性能解析の結果,DAC併設により冷却塔の消費電力を約89%と大幅に削減できることが分かった.さらに,液冷試験設備へDACプロセスを併設する実証試験について初期設計を実施し,構築案を提起した.