表題番号:2025C-460 日付:2025/11/08
研究課題音響環境保全のための各種土質材料の音波伝播特性に関する実験技術の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 教授 小峯 秀雄
(連携研究者) 創造理工学部 社会環境工学科 学部4年生 吉川真矢
(連携研究者) 創造理工学研究科 建設工学専攻 博士1年 村瀬颯太
研究成果概要
著者らは,土質材料がその種類や飽和度および粒径等の状態によって音波を伝播させる性質が異なることに着目し,砂質土に対して試料の状態量が音波伝播特性に及ぼす影響を実験的に評価してきた。土質の種類および状態の違いによる音波伝播特性は音響トモグラフィ等の地盤探査に活用されている。特に音響トモグラフィでは,発信機からの音響波を受信機で測定し,音響波の地盤内の速度分布や減衰率分布により,薬液改良地盤における不均一性の分布の調査等に利用されている。一般に,地盤内を伝播する音波の減衰率は,土粒子の乾燥密度や間隙流体の影響を受けるとされているが,それらが地盤内の音波伝播に与える影響の具体的なメカニズムは分かっていない.そこで本研究では,簡易的な要素試験装置を作製し,土質材料の粒径や飽和度および乾燥密度ごとに珪砂の遮音性を測定し,各状態量の音波伝播特性への影響の解明を試みた.その結果,各試料の飽和度,粒径,乾燥密度に着目した遮音率の大きさの比較において,V3 とV5 では同様の傾向が見られたが,V8 のみ異なる傾向が見られた。このことから,砂質土において土粒子の粒径,試料の飽和度,乾燥密度等の様々な要因が遮音性に影響を
与えることがわかった。また,粒子の形状,粒子同士の接触面積も音波伝播特性に影響を与える可能性が考えられる。