| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 創造理工学部 | 助手 | 森下 啓太朗 |
- 研究成果概要
土建築の環境負荷評価に向けた基礎資料として、資材製造段階(A1~A3)のCO₂排出原単位の整備を目的に、乾燥土、すさ、練り土を対象に9事業者へのヒアリングと現地観察を行った。その結果、以下が明らかになった。
(1) 事業者は小規模で、戦前から高度成長期に創業しており、新規参入はみられなかった。材料は近隣調達・近隣供給が基本だが、関連事業者の廃業に伴い供給範囲と輸送距離は拡大傾向にあった。後継者不足や需要減少、老朽化した機械の自社保守・修繕などの課題を抱えていた。
(2) 乾燥土は、建設・土木工事等の副産物として近隣で調達される原土を用いる例が多く、A1・A2のCO₂排出量は小さかった。製造プロセスは、荒壁用は供給・ふるい分け、中塗り用は粉砕と袋詰、仕上げ用は長時間粉砕・ふるい・袋詰工程から構成される。荒壁用・中塗り用・仕上げ用の順に最大粒径が小さくなり、生産効率は低下し、A3のCO₂排出量は大きくなった。
(3) すさは、原材料の多くが稲作の副産物として近隣から調達されるが、長尺稲わら確保のため手刈りを行う場合にはA1の排出量が高かった。製造プロセスは、荒すさは稲わらの切断のみで製造されるのに対し、中塗りすさは反毛・切断・袋詰めを要し、生産効率は低下し、CO₂排出量は大きかった。
(4) 練り土は、原土・砂・すさ等も近隣で調達され、A1・A2の排出量は小さかった。製造プロセスは、粉砕機の有無や自動化、練り混ぜ時間の違いにより生産効率とCO₂排出量に差が生じ、中塗り用では生産効率が低くCO₂排出量が大きかった。
(5) 乾燥土、すさ、練り土の資材製造段階(A1~A3)における単位質量あたりのCO₂排出原単位として扱いうる値を算定した。また、一般的な鉱物・木質系建材と比べ、小さい傾向が確認できた。
以上のように、採取・製造事業者の調査に基づき、製造プロセスの把握とCO₂排出原単位の算定を行った。これらは、土建築のLCAやCO₂排出量を削減する構法検討に活用できる基礎データとなる。