表題番号:2025C-440 日付:2026/03/31
研究課題冷間プレス曲げを施した構造用ステンレス鋼の機械的性質に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 創造理工学部 助教 山崎 諒介
研究成果概要
重要インフラである鋼橋のさらなる耐震性・耐久性の向上に向けて,角溶接部の割れや腐食を防止する観点から「冷間曲げ加工を施したステンレス鋼製部材の活用」が望ましいと考えられる.鋼材は冷間曲げ加工に伴う塑性変形を受けると,機械的性質が変化することが知られており,建築分野ではステンレス製の角型鋼管を対象に機械的性質の変化に着目した研究は一定数存在する.他方,鋼橋に用いる部材断面や製法に即した条件下において,ステンレス鋼の機械的性質の変化を実験的に明らかにした研究は極めて少ない.本研究では構造用ステンレス鋼SUS316の平板に冷間プレス曲げを施し,自然時効を与えた後に,引張試験を実施する.板厚4mmの鋼板を用いて,[平板・内半径5t・外半径50mm・外半径120mm]の4タイプの試験片を製作した.これらの曲げ加工の半径は我が国の鋼道路橋の設計基準に対応するように定めた.具体的には,内半径5tは割れ防止の観点からの下限値,外半径50mmは中空断面鋼管の限界径厚比,外半径120mmはコンクリート充填鋼管の限界径厚比にそれぞれ対応する.今年度は平板試験片の引張試験を実施し,曲げ加工の影響を受けない場合の機械的性質に関するデータを取得した.本研究で用いたSUS316鋼板の機械的性質は,過去に申請者らが実施したSUS316鋼板と近い傾向を示した.曲げ加工部から採取した試験片に関しても年度内に実験を終える予定であったが,鋼板の入手に時間がかかり,未だ充分な自然時効が得られていないため,残りの試験は2026年度に実施する.今後,平板と曲げ加工試験片の結果を比較することで強度・伸び性能・応力-ひずみ曲線の形状等の違いを明らかにする.加えて,曲げ加工の影響が,他の炭素鋼や,冷間「ロール」成形したステンレス鋼とどのように異なるかについても比較検討を実施してゆく.これらの情報を将来的には解析モデルに反映し,部材耐荷力に与える影響を検討していく.