表題番号:2025C-430 日付:2026/03/28
研究課題グラフェンの電子状態制御のためのSiC表面制御
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 教授 乗松 航
研究成果概要
 2次元材料であるグラフェンを作製する方法の1つに、SiC熱分解法がある。本研究では、SiC(0001)面および(000-1)面に形成されるグラフェンの電子状態と電子物性について調べている。今年度は特に(000-1)面上に、ポリマーアシスト熱分解成長(polymer-assisted sublimation growth, PASG)法によって均一なグラフェンの成長を試み、(0001)面上に形成されるグラフェンとの関係について明らかにした。具体的にはまず、フォトレジストとして用いられるポリマーAZ-5214Eをイソプロパノールに溶解したポリマー溶液を作製した。ポリマー濃度は、0, 3000, 5000, 7000, および10000 ppmとした。これらのポリマー溶液をSiC(000-1)面上にスピンコートし、大気圧Ar雰囲気中、1600~1700℃程度で5~20分加熱することで、表面にグラフェンを形成した。ラマン分光測定、原子間力顕微鏡観察の結果、5000 ppm以下の濃度では、ポリマーを用いない場合と同様の結果が得られた。一方、10000 ppmでは、加熱後にポリマーが残存することがわかった。7000 ppm程度の濃度で、比較的均一なグラフェンが得られた。各試料に対して、角度分解光電子分光測定を行ってそのバンド構造を観察したところ、0 ppmと5000 ppmの試料ではポリマーなしの結果と類似しており、30°のグラフェンのみが得られるSiC(0001)面とは異なる結果であった。それに対して7000 ppm試料では、30°のグラフェンが存在するのに加えて、ランダムな角度を持つグラフェンが無数に存在することを示唆する結果となった。10000 ppmでは、30°のグラフェンの割合が減少した。今後は、他の面でのグラフェンの特徴についても調べていく。