表題番号:2025C-427
日付:2026/04/04
研究課題グラフ構造を扱う高水準言語の汎用性の探求
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 理工学術院 基幹理工学部 | 教授 | 上田 和紀 |
| (連携研究者) | 早稲田大学 | 講師(任期付) | 山本 直輝 |
- 研究成果概要
- 本研究では,通常のプログラミング言語が直接サポートしないグラフ構造を扱う高水準言語として研究開発を推進しているLMNtal言語に対して,関連隣接分野へのリーチアウトに取り組み,以下の成果を得た.
1. 関数型プログラミングは,代数的データ型で表現可能な範囲を超えるグラフ構造の扱いが挑戦的課題である.LMNtalのデータ構造を導入して開発を進めている関数型言語λGTはハイパーグラフを第一級データとして扱い,共有や循環構造を自然に表現し,パターンマッチによる宣言的操作を提供する.しかし従来の型体系は,不完全グラフを扱えない点と,動的型検査に依存する点が課題であった.本研究では,線形含意型の導入により前者を解決し,パターンと型への制約追加により後者を解消して,静的かつ健全な型付けを実現した.
2. 量子計算において,量子回路の簡約経路の体系的発見は重要な研究課題である.本研究では,量子回路のグラフ表現に基づくZX計算に基づく量子回路簡約化の研究に対し,LMNtalを用いた補完的手法を提案した.量化機能を備えた拡張言語QLMNtalを用いて,量子回路の多くの基本簡約規則を直接表現し実行できることを示した.さらに,QLMNtal処理系の状態空間探索機能を通じて最適化経路を可視化・検証できることを具体例により示した.これにより,量子回路の最適化に対して,新たな視点に基づく研究基盤を与えることができた.
3. 上記に加えて,(a) LMNtalへの確率的書換え概念の導入および処理系への確率モデル検査機能の導入,(b) 関数型言語におけるエフェクト概念のグラフ書換えに基づく解釈,など,これまで未開拓であった隣接分野との関連付けを推進した.
以上の研究開発を通じて,LMNtalと多様な他分野と関連付けが進み,高い汎用性をもつ枠組としてのLMNtal言語および処理系の有用性を示すことができた.