表題番号:2025C-422 日付:2026/02/07
研究課題導来圏を用いたUlrich層の存在性問題と超ケーラー多様体構成へのアプローチ
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学術院 基幹理工学部 助手 吉田 智輝
(連携研究者) 東京大学 博士課程 政村悠登
研究成果概要
今年度は,Ulrich対象の理論を用いた例外生成列をもつ代数多様体上のUlrich束の存在問題への応用について特に研究を行った.この場合,n次元代数多様体上のn個の直線束は導来圏の(古典的)生成元にはなりえないということを示すことが充分である.代数曲線の場合主張は簡単であるため,次元に関する帰納法でのアプローチを考えていたが,本問題に関しては年度内の解決には至らなかった.
また,超ケーラー多様体をはじめとする小平次元0の代数多様体に対して,導来圏の自己同値がいつ正の圏論的エントロピーをもつか,Gromov-Yomdin型の等式をいつ満たすかという問題に関して研究を行い,結果,プレプリント2,プレプリント3が完成した.プレプリント3では,特定の超楕円曲面や任意のEnriques曲面に対して正の圏論的エントロピーを持つ自己同値が存在することを示し,Gromov-Yomdin型等式が超楕円曲面では常に成立,Enriques曲面では常に不成立であることを証明した.プレプリント3では,代数曲面に対する正の圏論的エントロピーをもつ自己同値の存在性や,Gromov-Yomdin型等式の不成立が,点のHilbertスキームへと遺伝すること,任意の超ケーラー多様体やEnriques多様体に対して正の圏論的エントロピーをもつ自己同値が存在すること,Gromov-Yomdin型等式が成り立たないことを証明した.