表題番号:2025C-408 日付:2026/03/27
研究課題保険数理モデルへの現代的統計モデリング手法の応用とリスク評価手法の開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 大学院会計研究科 准教授 野村 俊一
研究成果概要
1. 人口動態統計の年齢別・月別死亡者数データを用い、超高齢者の死亡年齢分布を極値理論で分析した。離散的な集計データを棄却法シミュレーションで連続的な擬似標本に変換し、閾値超過データに一般化パレート分布(GPD)を最尤推定で当てはめ、形状パラメータから寿命上限が有限か無限かを検討した。さらに一般化加法モデル(GAM)に基づくセミパラメトリックGPDモデルで非線形のコホート効果も評価した。加えて、COVID-19のパンデミック前(〜2019年)と後(2020年〜)で推定の安定性を比較した結果、形状パラメータは概ね安定して負となり、日本人寿命に有限上限がある可能性が示唆された一方、パンデミック期には寿命上限やハザード関数(死力)に変動が見られた。

2. ランダムフォレストを用いて総請求額の分布を推定するための新たな枠組みを提案した。個々の請求額に対するアウト・オブ・バッグ予測誤差に基づく不確実性推定を活用することで、総請求額分布の平均、分散、およびパーセンタイルを推定することができる。さらに、しばしば見過ごされがちな請求頻度と請求強度の依存関係を組み込む拡張モデルを導入し、これにより総請求額の予測精度の向上を図る。この依存関係のもとでの総請求額の平均および分散の推定量を導出した。人工データを用いた数値実験により、提案手法は非線形性や特徴量間の相互作用が存在する場合において、バイアスおよびばらつきを低減し、総請求額分布の平均、分散、およびテールのパーセンタイルの推定精度を向上させることが示された。さらに、請求頻度と請求強度の依存関係を考慮することで、独立を仮定したモデルと比較して推定のバイアスおよびばらつきが大幅に低減されることが確認された。