表題番号:2025C-395
日付:2026/03/13
研究課題英語学習における複数辞書使用の有用性
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 商学学術院 商学部 | 教授 | 山田 茂 |
- 研究成果概要
第25回北米辞書学会において、Benefits of consulting multiple EFL dictionariesというタイトルで研究発表を行った。至極当たり前のテーマだが、先行研究はほぼないと言ってよい。概要は以下の通りである。
インターネット上には、上級学習者向けの無料EFL辞書が5つ存在する。これらを順番に参照することは時間も労力も要するが、いくつかの利点がある。一般に、参照する辞書が多いほど、利用者はより多く、より質の高い情報(語義、定義、文法的・語彙的パターン/コロケーション、例文、用法ノートなど)を得られる。特定の情報が一つの辞書にしか載っていない場合もある。しかし、複数の辞書が同じ情報を繰り返している場合、その語が頻繁に使われることを確認できる。
辞書は意味記述に異なるアプローチを採用しており、それらに触れることで利用者は語彙項目をより深く分析し、理解を深めることができる。同じカテゴリーに属していても、EFL辞書にはそれぞれ独自の構成(頻度順の並び、サインポスト、メニュー、定義語彙、句・全文による定義など)があり、特徴を持つ。これらの辞書を比較しながら使うことで、学習者はそれぞれの構造や特徴に注意を払い、慣れ親しむことができ、より有能な辞書ユーザーとなる。
複数辞書の参照は練習量を増やし、英語力だけでなく辞書使用スキルの向上にもつながる。オンライン辞書を併用することで、学習者は「どの辞書なら特定の種類の語が見つけやすいか」といった感覚を身につけ、辞書への親しみも生まれ、各辞書の長所と短所を意識できるようになる。この知識は、調べる語の種類や文脈手がかりの有無に応じて、辞書を効果的かつ戦略的に使う際に役立つ。
辞書によっては互いの情報が補完的・相補的になることもある。実際、ある辞書の情報によって別の辞書の説明が理解できる場合もある。複数の辞書を適切な順序で組み合わせて使うことは、英語教育・学習や辞書スキル指導の設計にも示唆を与える。