表題番号:2025C-393 日付:2026/03/22
研究課題AIシステムの導入が従業員の自己啓発行動に与える影響の検討
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 助手 張 涵
研究成果概要

本研究は、AIによる職場の変革が進む中で、従業員の資源配分行動に与える影響を明らかにすることを目的として実施した。特に、人的資本および社会関係資本への投資行動に着目し、AI導入がこれらにどのような影響を及ぼすのか、その心理的メカニズムおよび制度的条件を含めて検討した。

研究の実施にあたっては、日本企業に勤務する従業員を対象に質問票調査を行い、収集したデータを用いて仮説モデルの検証を行った。分析においては、媒介効果および調整効果を同時に検討する調整付き媒介分析を採用し、AI導入が従業員の行動に及ぼす影響過程を検討した。

分析の結果、AI導入は従業員の機会認識と脅威認識の双方に影響を与えることが確認された。また、これらの心理的要因を通じて、人的資本および社会関係資本への投資行動に対して影響を及ぼすことが示唆された。さらに、給与情報公開はこれらの関係に対して一定の調整効果を有する可能性が示された。

以上の結果から、AI導入は従業員の資源配分行動に対して、複数の心理的経路を通じて影響を及ぼすことが明らかとなった。本研究は、AI導入の影響を従業員の行動レベルで捉え、そのメカニズムを実証的に検討した点に特徴がある。今後は、サンプルの拡張や異なる組織文脈における検証を通じて、結果の一般化可能性を高めるとともに、制度的要因との相互作用についてさらなる分析を進める予定である。