表題番号:2025C-391 日付:2026/04/01
研究課題ステータスに対する不安がアクターに与える影響についての実証研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学学術院 商学部 助手 鐘 粤
研究成果概要

ステータスに関する先行研究は、高ステータスのアクターが、低ステータスの他者と比較して第三者からより高い評価を獲得し、その結果として持続的な競争優位を享受することを示している。この効果は、両者のパフォーマンスが同等である場合にも観察される。そのため、自身と近接した他者のステータス上昇は、未だ高ステータスを有しないアクターにとって脅威として認識される傾向がある。既存研究は、このような文脈において、低ステータスのアクターが他者のステータス上昇後にモチベーションや生産性を低下させることを暗黙の前提としてきた。

本研究は、この前提に再検討を加え、近接する他者のステータス上昇後に、未だ高ステータスを有しないアクターの生産性がむしろ向上する可能性を実証的に示す。具体的には、著名な賞の受賞をステータス上昇イベントとして捉え、当該イベントが特定カテゴリーにおいて初めて生起した場合に、同一カテゴリーに属する他者の生産性が有意に増加することを明らかにした。

これらの知見は、他者のステータス上昇が協働関係を超えて正のスピルオーバー効果をもたらし得ることを示唆するものである。さらに、本研究は、ステータス・ダイナミクスのもとで非高ステータス者の心理的安全性を高めるメカニズムを提示することにより、ステータス理論の発展に貢献する。