表題番号:2025C-385 日付:2026/04/03
研究課題大学における専門内容を英語で学ぶ授業での英語発音に対する意識調査:学習者と講師の視点から
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 助手 工藤 秀平
研究成果概要

今回、特定課題の研究計画と自身の博士論文の研究テーマと結びつける必要があり、研究タイトルを「日本人英語学習者の英語語頭閉鎖音の知覚と産出パフォーマンスの変化に関する縦断的研究」へと変更し、研究を遂行した。

第二言語(L2)音声習得モデルである、音声学習モデル(SLM-r, Flege & Bohn, 2021)では、「L2音声知覚と産出能力は片方が先行することなく共進化する」という仮説を主張している。近年のL2音声教育の研究分野では、様々な学習環境におけるL2学習者の音声習得プロセスを知覚と産出の両面から長期的に追跡する縦断的研究の学術的意義が強調されている(Nagle, 2021)ことから、本研究では英語による専門科目指導(English-medium instructionEMI))の前段階にあたる準備英語コース(English for academic purposesEAP))を受講する日本人大学生の英語の語頭閉鎖音の知覚と産出の変化を1年間にわたって定量的に調査し、SLM-rL2音声習得プロセスの仮説を実証的に検証する。EAPを受講する日本人大学生30名を対象とし、英語の語頭における閉鎖音(/p, t, k, b, d, g/)の知覚と産出のパフォーマンスを測定する。知覚課題では、語頭閉鎖音の音響特徴であるVoice Onset TimeVOT:閉鎖音の破裂から母音開始までの時間長)を操作した音声の連続体を作成し、弁別課題と同定課題の二つを実施する。産出課題には語頭に閉鎖音を含むターゲット単語の読み上げ課題を用いて、VOTを測定する。統計分析には混合効果モデルを用いて、授業開始前(T1)・春学期終了時点(T2)・秋学期終了時点(T3)の知覚スコアと産出スコアの縦断的変化を分析し、統計的に有意な差があるかどうかを明らかにする。加えて、知覚・産出スコアの伸びが同時に観察されるか、遅延が伴うかを見ることでSLM-rで提唱されている知覚と産出の共進化性について考察する。

今年度は、本研究の実験デザインの構築に加え、音声の音響分析をするためのオープンソフトウェアであるPraatを用いて、実験に必要な音声刺激の作成やPC上でそれら音声刺激を提示し、実験参加者の応答を自動で記録するプログラムの構築を行った。次年度については上述の実験参加者を募集し、1年間のデータを収集する予定である。