表題番号:2025C-383 日付:2026/02/02
研究課題フィールド言語学と歴史言語学の交差点:探検家資料と現地調査データを通じて
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 教授 西田 文信
研究成果概要
19 世紀から 20 世初頭にかけて欧州の探検家によるアジア遠征の報告書の中に、訪問した現地語の語彙を収集・記録したものがいくつか見られる。西南中国の調査記録のうち言語についての情報が比較的豊富な資料として Hodgson (1853)、Baber(1882)、Johnston (1908)、Davies (1909)等が挙げられる。本発表は清末にフランスの学者・探検家アンリドローヌが 3 年かけて四川省・貴州省・雲南省を踏破したした際に記録した 45 の言語・方言の 328 項目にわたる対照語彙集である Langues des peuples non chinois de la chine, par le commandant d'Ollone, le Capitaine de Fleurelle, le Capitaine Lepage, le Lieutenant de Boyve (Documents scientifiques de la Mission d'Ollone,  Ernest Leroux (1912) 所載の諸言語語彙について、それらが依拠する言語・方言の諸相を明らかにするための基礎的研究を遂行した。

本研究は、フィールド言語学と歴史言語学の方法論を統合的に運用することによって、中国南西域および周辺地域に分布する少数民族諸語の歴史的変遷を再構成し、言語変化の内的・外的駆動力を明らかにすることを目的とする。具体的には、19~20世紀初頭に西洋探検隊や地誌が残した語彙記録と、近年の一次フィールドデータを体系的に比較し、音韻・形態・語彙の変化過程を歴史言語学的に検証する。こうした作業を通じて、局地的な変異と大域的な系統関係の関係、自然地理や社会構造が言語変化に与える影響、資料史料の有効性と限界を総合的に考察した。