表題番号:2025C-379
日付:2026/04/01
研究課題嗅上皮形成におけるFoxg1の機能解析
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 教育・総合科学学術院 教育学部 | 助手 | 栗山 杏 |
- 研究成果概要
哺乳類の嗅上皮は、嗅覚神経細胞と支持細胞から構成されており、先天的な嗅覚情報と経験依存的な嗅覚情報を並行して処理するため、明確なゾーンに分かれて領域化されている。これら2つの領域は、発生段階から様々に異なる特徴を示すことが知られているが、領域特異的に前駆細胞の分化能を調節するメカニズムについては、十分に解明されていない。
本研究では、転写因子Foxg1が神経発生前駆細胞の分化能を維持することにより、経験依存的な嗅覚情報を制御する腹外側領域のアイデンティティの決定に関与していることを明らかにした。条件付きFoxg1ノックアウトマウスと細胞自律的な系譜解析を組み合わせた解析の結果、Foxg1の欠失は背内側領域には影響を与えず、腹外側領域の大きさを選択的に縮小させることが示された。さらに、嗅上皮前駆細胞の網羅的なクローン解析により、嗅上皮前駆細胞は通常、嗅覚神経細胞または支持細胞のいずれか一方のみを産生することが明らかとなった。その中でも、Foxg1を発現する前駆細胞は主に嗅覚神経細胞を産生するのに対し、Foxg1を欠失させると支持細胞を産生することが示された。以上の結果から、Foxg1は腹外側領域において、前駆細胞の神経細胞産生能の維持において細胞自律的に重要な役割を担っていることが明らかとなった。本研究は、嗅覚神経細胞の産生および組織成長を制御し、経験依存的な感覚回路を形成する領域特異的な転写プログラムに関する新たな知見を提供するものである。これらの成果はGenes to Cellsにて報告した。