表題番号:2025C-378 日付:2026/03/06
研究課題土壌微生物の付着基質の施用が植物の生育に及ぼす影響
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 講師 町田 郁子
研究成果概要

細菌や菌類を含む土壌中の微生物は、土壌の質の改良や植物の生育促進などにおいて重要な役割を果たしており、その多くは、物質表面に付着してバイオフィルムと呼ばれる集合体を形成することにより、植物の生育促進等において効果的に機能を発揮することがわかっている。農業分野において土壌微生物の機能を効率よく利用するためにも、バイオフィルム形成が促進される環境を提供することが重要であるといえる。

我々はこれまでの研究において、鉄(Ⅲ)イオンにより架橋させたアルギン酸ゲル(Fe-alginate)が土壌微生物の付着およびバイオフィルム形成に適した表面を呈することを明らかにした。そこで本研究は、微生物の付着基質となるFe-alginateを土壌中に添加することにより、植物の生育にどのような影響が及ぶかについて調べることを目的として行なった。

本研究では農業分野への応用を見据え、ダイコン(Raphanus sativus)およびトマト(Solanum lycopersicum)をモデル植物に用いて室内栽培実験を行った。市販の培養土にビーズ状のFe-alginateを混合してからポリエチレン製のポットに入れ、ダイコンとトマトの種を播き、3週間栽培したのちの植物体の草丈や、乾燥重量(地上部・地下部)を測定した。また、土壌中の微生物バイオマスも解析した。その結果、土壌に Fe-alginate を施用した場合は、施用しない場合と比較して植物の生育が促進されることが示され、土壌中の微生物バイオマスも増加した。この傾向はトマトにおいてより顕著であった。ナス科のトマトはアブラナ科のダイコンよりも根圏微生物の感受性が強いことが知られているため、Fe-alginateが付着の足場となることで土壌微生物の機能が高まり、植物体の生育が促進されたことが示唆される。以上、本研究の結果から、Fe-alginateの農業分野での応用利用の可能性が示された。