表題番号:2025C-374 日付:2026/03/31
研究課題東京圏におけるエスニック・タウンの形成過程とそのメカニズムに関する地理学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 助手 野村 侑平
研究成果概要

近年,日本国内の外国人人口は増加傾向にあり,2025年時点で400万弱と,過去最多を記録した.町丁字単位では,外国人人口割合が数十%を超える地域も出現している.しかし,そうした外国人集住地域の形成過程と外国人による不動産取得と関連性に関する知見は不足している.そこで,本研究は,法務省により提供される登記情報を用いて,どの程度の数の外国人がいつから不動産を取得し,居住し始めたかを把握した.対象地域は,日本国内の市区町村のうち外国人人口が最多である川口市のうち,外国人人口割合が30%を超える西川口1丁目とした.その結果,違法風俗店の一斉摘発が実施された2000年代前半頃から,中国系住民による不動産取得が始まり,2010年代以降,その傾向が加速していることが明らかになった.その背景には,従来の日本人所有者がその親族に相続するも,それを手放すことがあった.また,一度中国系住民もしくは企業が不動産を取得すると,その後は他の中国系住民に所有権が移転するケースが目立った.以上を踏まえると,外国人集住地区の形成要因として,単に日本政府による在留管理制度の変化に伴った結果だけでなく,日本の人口動態の変化や,外国人コミュニティ内部の不動産情報の共有が大きく影響しているものと考えられる.

 この研究成果については,20268月にトルコ・イスタンブール大学で実施されるIRC 2026 Regional Conference にて報告する予定である.