表題番号:2025C-373
日付:2026/03/07
研究課題E.M.フォースター初期作品におけるロマン派文学の影響についてのテクスト分析研究
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 教育・総合科学学術院 教育学部 | 教授 | 虹林 慶 |
- 研究成果概要
- 本特定課題研究は、20世紀前半を中心に活躍した小説家でありブルームズベリー・グループの一員であった、E.M.フォースター(1879-1970)の初期作品におけるロマン派詩人からの影響を特定する研究である。フォースターの作品は通例モダニズム文学として分類されており、反ロマン派的側面とともに考察されることが多い。これに対して、本研究はフォースターの初期作品がロマン派の影響を多大に受けていることを示すことで、作品の新たな読みを提示する試みである。特にA Room with a View (1908)におけるプロットの構成要素がロマン派詩人のイメジャリに大きく拠っていることをテクスト比較研究によって証明することを目的とする。なお、本研究の遂行にあたって電子資料(書籍および論文)の閲覧や整理のためにPC環境の整備を行い、関連書籍の購入を行った(研究費の主な用途)。本研究の進捗状況について報告する。結論として、上記の内容の研究を行い、国際誌への論文投稿および掲載を行うことができた。 (Kei Nijibayashi, Romantic Imagery in E. M. Forster’s A Room with a View, English Studies, Vol. 106, Issue 8, 1167-1183)本研究の成果である当該論文は2部構成となっており、詳細は以下の通りである。第1部ではA Room with a Viewのプロット上で重要な第4章と第6章に焦点を当て、これらの章における劇的展開がロマン派詩のイメージに支えられていることをテクスト分析において指摘した。第4章においてはWilliam Blakeの抑圧された人間性のイメージが、第6章においてはWilliam Wordsworthの自然と人間の調和における歓喜のイメージが、それぞれ援用されており、いずれも川のイメージに収斂されていることを示した。第2部ではヒロインLucy HoneychurchのメンターとなるEmerson氏がロマン主義者として描かれていることを示した上で、本作品のプロットを決定づける氏の教説が特にPercy Bysshe Shelleyの思想に基づいている点をテクスト分析によって明らかにした。結論として、本作品をロマン派の伝統において読むことが可能であることを証明した。