表題番号:2025C-363 日付:2026/03/25
研究課題総合学科改編を通じた高校改革実践の動態的把握の試みー改革をめぐる「語り」からー
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育・総合科学学術院 教育学部 助手 丸川 拓己
研究成果概要
本研究では、高等学校における第三の学科とされる「総合学科」制度に着目し、特に1990年代に総合学科制度を用いて高校改革実践に取り組んだ学校について、経験的側面からその改革の実践過程を明らかにすることを目的とするものである。分析にあたっては、特に2000年代以降の総合学科制度化時点とは異なる高校教育政策が全国的に展開される中での、改革実践の維持・展開をめぐる困難について、教師の経験をもとに検討することを目指した。2025年度は、特定課題研究助成費(研究基盤形成)を用いて、特定自治体における1990年代の総合学科改編校の改革実践に関する歴史的史料を収集するとともに、改革実践を担った教師へのインタビュー調査を実施することができた。当該調査は日本高校教育学会第32回学会大会(2025年7月19日)でその成果の一部を扱う口頭発表を行った。また、インタビュー調査の過程で得られた語りをもとにした論文を学会誌に投稿した。
今回の特定課題研究を通して、総合学科という学科システムから従来演繹的に理解されてきた教師の教育実践が、その実当該学校の生徒の実態や背景、さらにそれに関わる地域・階層・歴史的背景によって多様な形で経験され、実践されていたことが浮き彫りになった。他方、そうした固有の改革の意味と総合学科システムとの接続関係は、2000年代以降に高校教育政策が学力向上施策へと重点を移行する中で、徐々に揺らいでいく過程がみられた。
もっとも、本研究課題は1990年代から2000年代を時期区分としており、その後の実態については今後の新たな課題である。人口減少地域では地域ごとに一概に把握できない高校教育をめぐる新たな課題が生じており、1990年代とはまた異なる形で、総合学科システムが経験・実践されている可能性がある。この点を今後の研究課題としたい。