表題番号:2025C-343
日付:2026/02/09
研究課題事象関連電位によるN400成分:資源配分量と意味量による効果の検討
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 文学学術院 文学部 | 教授 | 日野 泰志 |
- 研究成果概要
- 事象関連電位の測定では、語の提示から400ミリ秒経過後に、N400と呼ばれる電位変化が生じ、この成分は語の意味処理を反映すると解釈されている(e.g., Kutas & Hillyard, 1980)。しかし、N400の振幅がどのようなプロセスの性質を反映するのかという問題は未解決のままである。本研究では、語の心像性の程度とプライムとターゲットとの間の関連性を直交に操作して、マスクされたプライムを伴う語彙判断課題とカテゴリー判断課題を行い、事象関連電位に観察される心像性効果と意味的プライミング効果の課題間比較を試みた。いずれの課題においても、プライムに先行して、マスク刺激が500 ms間提示され、プライムが50 ms間提示された直後に、別のマスク刺激が16.67 ms間提示され、ターゲット刺激に置き換えられた。実験の結果、どちらの課題においても事象関連電位に観察される心像性効果は、ターゲット刺激提示後400-500 msの期間に極大となるのに対して、意味的プライミング効果は、刺激提示後、500-600 msの期間に極大となることがわかった。さらに、心像性効果は、頭皮上の電極全体で観察され、前頭部、中央部の電極でより大きく観察される傾向があったのに対して、意味的プライミング効果は頭頂部、後頭部の電極で観察される傾向にあることも明らかとなった。心像性効果が語の意味活性化量を反映し、意味的プライミング効果は活性化された意味情報の統合処理とそれに続く判断生成処理とに関連があると仮定するなら、意味活性化による効果は前頭部から中央部の電極で観察され易く、意味処理の初期のプロセスで観察される傾向があるのに対して、活性化された意味情報の統合処理や判断生成のための資源配分による効果は、意味処理の比較的後期のプロセスで観察され、頭頂部から後頭部の電極で観察される傾向にあるものと思われる。