表題番号:2025C-341 日付:2026/01/06
研究課題日本仏教における死生観の研究:「輪廻/衆生の始まり」をめぐる言説の分析を中心に
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文学部 教授 師 茂樹
研究成果概要
仏教の死生観は、輪廻説が基盤となっている。輪廻は通常、無始有終(始まりはないが、解脱による終わりはある)と考えられているが、中国の南北朝時代に発展した成実論師の一部は、輪廻は根本的な無明によって始まると考え、輪廻に入る前の領域(「識窟」などと言われる)があり、輪廻から脱するときには輪廻以前の領域に還ると考えていた。こういった考え方は、天台宗や三論宗など、後の東アジアの諸師によって批判されることとなったが、日本においては聖徳太子の著作や奈良時代の唐決文献などに継承され、その後も類似する思想が見られるなど、一定の支持があった可能性がある。
2025年度においては、上記の思想を研究する一環として、成実宗に関連する文献(聖徳太子『勝鬘経義疏』、『東大寺六宗未決義』、聖語蔵所収『法華略讃歎』)や、類似する思想を持つ文献(『東大寺諷誦文稿』等)の精読研究に取り組み、その成果の一部について国内外で研究発表を行なった。