表題番号:2025C-333 日付:2026/02/03
研究課題古代中世勧進資料の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 教授 川尻 秋生
(連携研究者) 文学学術院 教授 川瀬由照
(連携研究者) 文学学術院 准教授 下村周太郎
(連携研究者) 京都府立京都学・歴彩館 京都学特任研究員 田島 公
(連携研究者) 京都橘大学 教授 小林裕子
研究成果概要
 今年度は、勧進史料として、「水落地蔵」納入「諸国勧進交名」について研究した。
 具体的には、陸奥国の勧進地となった平泉中尊寺(岩手県平泉町)、常陸国の勧進地となった東城寺(茨城県土浦市)での資料調査など、実態に即した踏査を実施した。
 また、2025年9月20日(土)には、川尻秋生が所長を務める早稲田大学総合研究機構・奈良文化研究所主催により、早稲田大学文学学術院(34号館452教室)において、「文治3年(1187)愛知県津島市西光寺所蔵「水落地蔵」納入品シンポジウム」を開催した。当日は、①川尻秋生(早稲田大学)「水落地蔵」納入「諸国勧進交名」研究の意義―古代・中世の地域社会を考える―」、②下村周太郎(早稲田大学)「「諸国勧進交名」の史料としての可能性―交名の並び順に関する再検討を中心に―」、③川瀬由照(早稲田大学)「仏像の像内納入品の種々相―結縁交名を中心に―」、④井上大樹(文化庁)「西光寺(愛知県津島市)地蔵菩薩像および像内納入品の概要と美術史上の位置づけ」、⑤田島公(京都府立京都学・歴彩館)「「水落地蔵」納入「諸国勧進交名」に見える北陸道諸国の荘園・寺社と交通路」の口頭発表、誌上参加として、小林裕子「愛知県津島市西光寺地蔵菩薩立像について―持物の柄香炉をめぐって―」があり、その後、来場者を含めて活発な討論を行った。一般の参加者は60名を越え、また開催後にもシンポジウム資料集を求める声が多数寄せられた。
 本資料は、中世初期の地域社会のみならず、古代の地域史、また聖徳太子信仰などの研究分野に、新たな地平を拓くことが今まで以上に確認され、また社会からの関心も高まっていることが感じられた。
 市民向けの講座としては、2025年5月11日(日)に、千葉県成田市主催の歴史講演会(成田市役所大会議室)にて、川尻秋生「古代・中世初期の「香取の海」を探る―新資料「水落地蔵」納入品から見た―」を講演した。当日は200名以上の参加者があり、当該史料の重要性が、市民にも理解されつつあることを認識した。