表題番号:2025C-319 日付:2026/03/25
研究課題ロシア帝国期フィンランドにおける国民形成と国制
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学学術院 文化構想学部 助手 吉田 眞生子
研究成果概要

 19世紀、ロシア帝国時代のフィンランド大公国では、「フィンランド国民」とは何かをめぐって、知識人が活発な議論を展開した。同時期に、巨大な専制国家に編入されたフィンランドでは、自治維持・強化のため、フィンランド国制の理論化が進んだ。報告者は、従来別個に検討されてきた二つの問題(①「フィンランド国民」とは何かをめぐる議論、②国制の問題)の連動という視点から、フィンランド国民形成を再検討することを試みている。事例としては、当時の代表的な知識人であったZ・トペーリウス(Z. Topelius, 1818–98)を取り上げる。彼は、作家、新聞の編集者、歴史家などとして多岐にわたる活動を行った人物で、「フィンランド国民」をめぐる議論に積極的に参加し、フィンランド国制についても自身の見解を提示している。

 2025年度の研究では、トペーリウスのフィンランド国民観及びフィンランド国制観の変遷を明らかにするため、彼の歴史学的論考及び新聞記事の分析を進めた。また、彼の見解やその変化の背景を探るため、当助成金を用いてフィンランドに渡航し、フィンランド国立図書館で彼の手稿史料(手紙など)の収集を行った。今後はさらなる史料の収集及び収集した史料の分析を進め、研究を継続していく。