表題番号:2025C-311
日付:2026/02/28
研究課題迷惑防止条例における「卑わいな言動」の意義と判断方法
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 法学学術院 法学部 | 准教授 | 大関 龍一 |
- 研究成果概要
- 各都道府県が制定する迷惑防止条例の制定過程と改正動向を調査したうえで、「卑わいな言動」を処罰する旨の規定の解釈について検討を加えた。「卑わいな言動」の典型例として痴漢行為や盗撮行為が挙げられるが、「卑わいな言動」という文言は抽象的であり、処罰範囲を適正化するためには、その判断基準を明確化する必要がある。条例の制定趣旨や、本罪に「公共の場所・乗物」という場所的要件が定められていることからすれば、本罪の主たる保護法益は県民の生活の平穏という社会法益である。もっとも、卑わいな言動には被害者を観念可能であることや、私的空間における盗撮等を処罰する規定が迷惑防止条例に新設される傾向にあることを踏まえれば、ここでいう「県民」は、当該行為の客体となりうる潜在的な「被害者」を意味する。このような保護法益理解を前提とすれば、「卑わいな言動」該当性は、当該行為の客体となりうる者(潜在的被害者)がそのような行為を受けた場合に卑わいと感じるか否かという観点から判断すべきである。行為の態様それ自体から「卑わいな言動」であると判断される事例もあるが、例えば、コンビニの男性店員が男子児童の臀部を1回軽く叩いた場合のように、行為態様だけでは「卑わいな言動」該当性を判断できない場合もある(神戸地判令和3年11月30日判時2537号70頁参照)。裁判例は、卑わいな言動該当性を客観的事情に照らして判断し、行為者の主観的意図は卑わいな言動該当性を左右しないとする傾向にある。しかし、行為者の主観的意図を考慮して初めて、当該行為が潜在的被害者にとって卑わいなものといえるかが判断可能な場合もありうるのであって、このような場合には行為者の主観的意図を考慮すべきである。以上につき、大関龍一「判批」法律時報97巻13号(2025年)153頁以下参照。