表題番号:2025C-309 日付:2026/03/05
研究課題独占禁止法上の不当な取引制限の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学学術院 法学部 准教授 中里 浩
研究成果概要

 本研究助成制度に基づき、独占禁止法の共同行為に関する規制枠組みである不当な取引制限に関連し、①公共調達に関する不当な取引制限をめぐる問題及び②労働分野における各種共同行為の限界を明らかにすることを目的に、各種研究発表を蓄積した。
 まず、公共調達については2025年10月、日弁連消費者問題検討委員会独占禁止法部会にて近時の公取委における談合防止のプライオリティの低下、それに伴う地方公共団体の公共調達監視に果たす役割とともに、入札監視委員会の位置付け、とりわけ弁護士委員に期待される任務内容や心構え、入札調達のチェックポイントや傾向について発表を実施した。
 さらに、刑事告発事件に発展し、社会的影響が極めて大きかった東京五輪談合事件につき事件評釈として2025年6月に公表された行政処分と本件の一連の刑事判決との比較を実施した。これにつき、経済法判例研究会(2025年11月)、関西経済刑法研究会(2025年12月)の発表を行うとともに、その発表内容をまとめる形でジュリスト(2026年3月号)への掲載を実現させた。
 次いで労働分野については、労働組合が労組法上の制度趣旨を逸脱し、独占禁止法に抵触する行為の範囲については労働法分野・経済法分野でも必ずしも共通の理解が得られていなかったところ、不当な取引制限に関与する場合の限界事例と問題となる第二次ボイコットについて論稿を公表するとともに(早稲田法学101巻1号2025年12月公表)、労働組合と使用者団体の行為が共同行為規制に抵触するかが問題となった日本港運協会事件について、判例評釈を実施し、科研費研究会等での口頭発表を経て雑誌労働法律旬報への出稿を完了させた(2026年4月上旬号掲載確定)
 なお、本研究助成費用とこれに基づく各種成果が評価され、2026年度採択科研費(基盤研究C)につき、「不当な取引制限の総合的研究」の獲得につなげることができた(2030年度まで継続予定)。