表題番号:2025C-308
日付:2026/04/04
研究課題イタリアにおける独立労働者(フリーランス)の所得保障
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 法学学術院 法学部 | 教授 | 大木 正俊 |
- 研究成果概要
イタリアの独立労働者に対する失業時所得保障は、一般自営業者を横断的に包摂する統一制度としてではなく、各カテゴリーごとに異なる制度を配置する分立的な構造をとっている。すなわち、準従属労働者には DIS-COLL、Gestione Separata加入の本来的自営業者には ISCRO、高齢の商業自営業者による事業廃止には 商業活動廃業手当、芸能分野には 非継続性手当が設けられている。このことから、イタリアには、一般の自営業者全体に広く適用される一元的な失業保険制度は存在しないと整理できる。
また、この制度構成からは、イタリアが独立労働者を一括して「失業者」と把握するのではなく、就業形態ごとに異なるリスクに応じて限定的・選別的に保護する発想を採用していることがうかがえる。DIS-COLLは、付加価値税納税者登録番号を持たない準従属労働者に対し、拠出に応じた給付と 受給期間中の年金のみなし保険料拠出を伴う点で、被用者型保障に比較的近い。他方、ISCROは 付加価値税納税者登録番号の維持を前提とし、6か月給付でみなし保険料拠出も伴わず、失業後の代替所得保障というより所得急減時の事業継続支援として設計されている。さらに商業者向け制度は老齢年金への橋渡し、芸能分野では断続就業への対応が中心である。これらから、イタリアでは、所得保障の焦点が、職業類型ごとの脆弱性管理におかれているといえよう。