表題番号:2025C-301
日付:2026/04/02
研究課題デジタル・メディア・プラットフォーム事業者によるモデレーションと表現の自由
| 研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
|---|---|---|---|
| (代表者) | 法学学術院 法学部 | 助手 | 高橋 史則 |
- 研究成果概要
- 昨年度の研究課題および外部の研究課題のもとでは、デジタル・メディア・プラットフォーム事業者によるコンテンツ・モデレーションと表現の自由をめぐる日本の議論状況を整理したうえで、若干の考察を行った。そこで、本研究課題のもとでは、アメリカにおける議論状況を参照することで、コンテンツ・モデレーションに修正1条による保護が及ぶのか、及ぶとすればどの程度の保護が及ぶのかを検討した。検討に際しては、2つの州において制定されたコンテンツ・モデレーションを規制する法律(フロリダ州法SB7072とテキサス州法HB20)と、それらの合憲性が争われた訴訟を中心的な素材とした。連邦最高裁は、2024年7月に出された判決において、傍論ながら、先例とのアナロジーを根拠として、巨大プラットフォームのフィードには修正1条による保護が及ぶ場合があると判示した。同判決および同判決を受けた学説の議論を中心に検討を進めた結果、伝統的なメディアによる編集行為との間にアナロジーが成立するかを個別に判断していくという方向性が示されていることが分かった。また、上記のような同判決に内在的な論点に加えて、コンテンツ・モデレーションと通信品位法230条の関係、同判決を支える修正1条法理、両州法のデジタル立憲主義との関係なども検討の対象とした。その結果、コンテンツ・モデレーションと通信品位法230条の関係について明確にすべき点が存在していること、同判決を支える修正1条法理を再検討する余地があること、デジタル立憲主義の考え方からすれば両州法を立憲化プロセスと捉えることも不可能ではないことが分かった。コンテンツ・モデレーションと表現の自由は日本においても現在進行形で議論されているテーマであり、アメリカにおける議論状況の参照は有益な示唆をもたらす可能性がある。なお、上記成果の本研究期間内での公表には至らなかったため、来年度内での学内紀要への応募を予定している。