表題番号:2025C-285 日付:2026/03/19
研究課題制度官庁の役割変容 - 総務行政の業務プロセス・ マネジメント機能に関する調査研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学術院 政治経済学部 教授 縣 公一郎
(連携研究者) 立教大学法学部 教授 原 田   久
(連携研究者) 拓殖大学政経学部 教授 益 田 直 子
(連携研究者) 福岡大学法学部 教授 菅 原 和 行
(連携研究者) 筑波大学人文社会系 准教授 河 合 晃 一
(連携研究者) 専修大学法学部 准教授 渡 邉 有希乃
(連携研究者) 総務省 元次官 山 下 哲 夫
(連携研究者) 総務省 元総務審議官 堀 江 宏 之
研究成果概要
 本研究課題の成果として、2026年3月16日、縣公一郎/原田久編『証言とデータでみる総務省: 支援型行政への変ぼう 』(勁草書房)を刊行した。本研究課題の下、設営されていた制度官庁研究会のメンバーであった、原田久、河合晃一、益田直子、渡邉有希乃、菅原和行、山下哲夫、そして堀江宏之、以上7名の貢献を纏めた著作である。本研究の問題意識は、「制度官庁としての総務省の機能は、近年査定から支援に変化している」という仮説に発している。戦後日本の中央政府における行政改革の経緯は、1960年代、1980年代、2000年代、そして2020年代という20年毎のフェイズ区分から分析され得る。その際、総務省、及びその前身である行政管理庁、ないし総務庁は、自らは直接国民へのサービスを提供せず、他の官庁の制度と運用を管理する制度官庁として重要な役割を果たしてきた。2000年代までは、行政改革の制度設計、その実装管理という、いわば査定機能が果されてきた。他方、2020年に入って、制度改革自身に一応の決着を見て、むしろ改革された各官庁が円滑に活動するための支援機能へと変化していると観察される。
 そこで、本書では、この総務省の機能変化に関して、まず、当該行政改革の決定と実施の中枢にて活動した山下と堀江に対するインタヴューを、オーラルヒストリ形式にて実務者の証言として集成し、その内容から、上記の仮説を導出した。その上で、行政改革の5つの側面に関する分析を通じてこの仮説の検証を試みた。原田の「総務省行政管理局の業務改革支援──制度・実態・効果の検証」では、総務省の各省具体的活動への支援体制の実態が考察された。河合の「総務官僚の「支援型」管理への志向変化──独立行政法人制度改革を事例として」では、独立行政法人運用上の総務省機能変化が分析された。益田の「総務省行政評価局の役割変化──各府省への評価能力構築支援へ」では、各章の政策評価における総務省の機能変化が検討された。渡邉の「総務省統計部門による統計審査と調査実施支援──「伴走する司令塔」を目指して」では、統計行政における総務省の役割変化が議論された。そして、菅原の「アメリカにおける支援型行政──連邦人事管理庁の人事管理支援」では、比較対象としてのアメリカの実態が扱われた。こうした議論の結果、今後の推移を充分観察する必要性が留保されるものの、査定から支援への変化が観察され、措定された総務省の機能変化に関する仮説は肯定された。ただし、この査定から支援への変化は、或る一時点で一気に生じたのではなく、両機能は以前から併存しており、重点が査定から詩編へと移動している、と考えるべきであろう。この併存における重点移動という観察結果は、新たな仮説として、今後検討される必要があろう。